前号に引き続き、トゥーゲントハット「論理学講義」(Ernst Tugendhat, Vorlesungen uber Ethik 1993)を紹介する。これまで、第一講義、第二講義、第五講義を、それぞれ、本誌第十四号、第十五号、第十六号にわたって ..
一 はじめに 崇徳院怨霊は、院政期の人々に最も畏怖された怨霊である。崇徳院の死や怨霊化の過程は物語の恰好の素材になり、以後崇徳院怨霊は『保元物語』を始めとして『平家物語』『太平記』などの軍記物語や『松...
はじめに 『人面疽』という作品は、一九一八(大正七)年三月、『新小説』に発表された短編小説である。この小説は、推理小説や探偵小説、怪奇小説などとさまざまに呼ばれる広い意味でのミステリー小説として評価...
一、 はじめに 『源氏物語』のテクスト分析にあたって欧米の現代文学理論を大胆に採り込んでいる高橋亨は夕顔巻のクライマックスにあたる夕顔怪死事件の物語叙述を思ってであろう、この巻の物語叙述は「怪奇の物語...
よく知られているように、カントは「判断力批判」において、趣味判断を下すさいに関心が混入することを拒否し、いわゆる趣味の無関心性を要求している。つまり趣味判断は、無関心な満足に基づいて下されなければなら...
本論は、「我れは心において亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり」(1)という結語をもって、政治・経済や思想・文化など一切の領域において「アジア」から離脱し、ついては中国起源の儒教思想を決定的に捨像し、あ...
環境問題に具体的な処方を提示するものとして、環境経済学が注目を集めている。本稿では、この新しい学問分野に焦点を当て、その考え方に含まれる問題点について検討することにしたい。環境経済学の根本にあるのは、...
近代日本におけるキルケゴール思想の受容の跡づけをどのように捉えることができようか。このテーマに基づいた資料的研究が従来から断続的に行われてきたことは事実である。しかしそうした研究にあって、さらに受容の...
自己を問うことは他者を問うことでもある。西欧近代思想において、世界認識の主体である近代的自己がその対象に何らかの異質性を認める20世紀以来、自己は他者との緊張関係において改めて主題化される。そこでは、...
われわれ人間を世界内存在として規定するための方法論的通路としてハイデガーが選びとったのは、周囲世界ないし環境世界(Umelt)の分析である。われわれと世界との結びつきが不可欠であるということは、生きて...
現在、翻刻出版された「花伝」は「風姿花伝」と題し、七篇で一書とされている。しかしながらこれらは、第一から順に書かれたものではなく複雑な過程を経た後の書であることが、ここ三十年ほどの間に明らかにされてき...
「倫理学とは何か」を問う場合、ひとまず次のように答えることができるであろう。「できること」を「してもよいかどうか」問うのが倫理学である、あるいは、可能な選択肢のうち、どれが最善であるかを問うのが倫理学...
目の前に自分の死が見えたとき、人はその死までの時間をどのように生きるだろうか。「平家物語」は、清盛という超越した個性によって急激に隆盛した力が、東国に蜂起した源氏勢に攻め滅ぼされるという平家一門の栄華...
はじめに 日露戦争後の知的言説による朝鮮表象はさまざまな形態をとって編まれる。日韓合併にいたる対韓国政策論、自然発生的に広がる民間の殖民熱に乗じて生産される実業マニュアル、旅行・紹介記による観光案内、...
アメリカでは、コミュニティの活性化に図書館が不可欠であり、それが民主主義を保障するという認識が広く共有されている。そうした期待を受けて、司書たちがいかに専門的スキル-ライブラリアンシップ-を発揮してき...
一 はじめに 明治初期から韓国併合にいたるまでの朝鮮、朝鮮人像は、あらゆる側面からその否定的な性質がとくに強調されてきた。そして、このような言説から、日本人像の陰画になる巨大な「悪徳」の朝鮮人像が創り...
一 はじめに 崇徳院怨霊は、院政期の人々に最も畏怖された怨霊である。崇徳院の死や怨霊化の過程は物語の恰好の素材になり、以後崇徳院怨霊は『保元物語』を始めとして『平家物語』『太平記』などの軍記物語や『松...
はじめに 『人面疽』という作品は、一九一八(大正七)年三月、『新小説』に発表された短編小説である。この小説は、推理小説や探偵小説、怪奇小説などとさまざまに呼ばれる広い意味でのミステリー小説として評価...
一、 はじめに 『源氏物語』のテクスト分析にあたって欧米の現代文学理論を大胆に採り込んでいる高橋亨は夕顔巻のクライマックスにあたる夕顔怪死事件の物語叙述を思ってであろう、この巻の物語叙述は「怪奇の物語...
よく知られているように、カントは「判断力批判」において、趣味判断を下すさいに関心が混入することを拒否し、いわゆる趣味の無関心性を要求している。つまり趣味判断は、無関心な満足に基づいて下されなければなら...
本論は、「我れは心において亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり」(1)という結語をもって、政治・経済や思想・文化など一切の領域において「アジア」から離脱し、ついては中国起源の儒教思想を決定的に捨像し、あ...
環境問題に具体的な処方を提示するものとして、環境経済学が注目を集めている。本稿では、この新しい学問分野に焦点を当て、その考え方に含まれる問題点について検討することにしたい。環境経済学の根本にあるのは、...
近代日本におけるキルケゴール思想の受容の跡づけをどのように捉えることができようか。このテーマに基づいた資料的研究が従来から断続的に行われてきたことは事実である。しかしそうした研究にあって、さらに受容の...
自己を問うことは他者を問うことでもある。西欧近代思想において、世界認識の主体である近代的自己がその対象に何らかの異質性を認める20世紀以来、自己は他者との緊張関係において改めて主題化される。そこでは、...
われわれ人間を世界内存在として規定するための方法論的通路としてハイデガーが選びとったのは、周囲世界ないし環境世界(Umelt)の分析である。われわれと世界との結びつきが不可欠であるということは、生きて...
現在、翻刻出版された「花伝」は「風姿花伝」と題し、七篇で一書とされている。しかしながらこれらは、第一から順に書かれたものではなく複雑な過程を経た後の書であることが、ここ三十年ほどの間に明らかにされてき...
「倫理学とは何か」を問う場合、ひとまず次のように答えることができるであろう。「できること」を「してもよいかどうか」問うのが倫理学である、あるいは、可能な選択肢のうち、どれが最善であるかを問うのが倫理学...
目の前に自分の死が見えたとき、人はその死までの時間をどのように生きるだろうか。「平家物語」は、清盛という超越した個性によって急激に隆盛した力が、東国に蜂起した源氏勢に攻め滅ぼされるという平家一門の栄華...
はじめに 日露戦争後の知的言説による朝鮮表象はさまざまな形態をとって編まれる。日韓合併にいたる対韓国政策論、自然発生的に広がる民間の殖民熱に乗じて生産される実業マニュアル、旅行・紹介記による観光案内、...
アメリカでは、コミュニティの活性化に図書館が不可欠であり、それが民主主義を保障するという認識が広く共有されている。そうした期待を受けて、司書たちがいかに専門的スキル-ライブラリアンシップ-を発揮してき...
一 はじめに 明治初期から韓国併合にいたるまでの朝鮮、朝鮮人像は、あらゆる側面からその否定的な性質がとくに強調されてきた。そして、このような言説から、日本人像の陰画になる巨大な「悪徳」の朝鮮人像が創り...
一 はじめに 崇徳院怨霊は、院政期の人々に最も畏怖された怨霊である。崇徳院の死や怨霊化の過程は物語の恰好の素材になり、以後崇徳院怨霊は『保元物語』を始めとして『平家物語』『太平記』などの軍記物語や『松...
はじめに 『人面疽』という作品は、一九一八(大正七)年三月、『新小説』に発表された短編小説である。この小説は、推理小説や探偵小説、怪奇小説などとさまざまに呼ばれる広い意味でのミステリー小説として評価...
一、 はじめに 『源氏物語』のテクスト分析にあたって欧米の現代文学理論を大胆に採り込んでいる高橋亨は夕顔巻のクライマックスにあたる夕顔怪死事件の物語叙述を思ってであろう、この巻の物語叙述は「怪奇の物語...