〔目的〕グループ討論が議論として成り立っているかどうかを定性的に把握するために共起ネットワーク分析を用いて「議論の構造」を抽出し検討する。〔方法〕本学1年生と4年生から学生をランダムに選出し,議論のガイドあり,ガイドなしの4群を作成し,「監視カメラの設置」をテーマに45分間議論を行わせた。録音した音声データの逐語録から4つの共起ネットワークを作成し,4群を比較しながら「議論の構造」を検討した。〔結果〕4群の「議論の構造」を比較するため,ベースとなる共起ネットワーク構造,発言の役割をタグ付けした共起ネットワーク構造,話者をタグ付けした共起ネットワーク構造,議論のどの段階で関連が生まれたかが示された共起ネットワーク構造を作成した。〔考察〕被験者の行っていた議論が議論たり得たかを共起ネットワークによる構造に基いて解釈した。1年ガイドなし群ではそれぞれの話者が自分の意見や考えの表明に終わっており,議論に至ってはいないと解釈できた。簡単な短いガイダンスを行った1年生ガイド群でも議論の萌芽が垣間見える程度であった。これに対して,4年生ガイドなし群でも話者全員が反応している発語が豊富であり,議論が行われているものと解釈できた。4年ガイドあり群では,話者全員が反応している発語が豊富であり,議論が行われているものと解釈できた。こうしたことから,議論のガイドが示されていることによる効果,4年次までの学修の効果が,「議論の構造」として現れたと解釈できたといえよう。[Objective]To extract and examine the “structure of the discussion” using co-occurrence network analysis in order to qu...