金沢大学医学部附属病院ヒトB細胞はEpstein-Barrウイルス(EBV)の感染を受けると形質転換れ、半永久的に培養・維持可能なリンパ芽球様細胞に株化される。このようなEBV感染B細胞の増殖は自ら産生する増殖因子により調節されるものと考えられている。本研究では、EBV感染B細胞株における自己増殖因子としてのインタ-ロイキン6(IL-6)の意義を検討し、以下の結果が得られた。1.EBV感染B細胞のIL-6レセプタ-(R)の発現:阪大細胞工学センタ-にて開発された抗IL-6R単クロ-ン抗体(MT18)にて確認した。2.IL-6によるEBV感染B細胞の増殖促進:レコンビナントIL-6の添加によりEBV感染B細胞の増殖が促された。この増殖促進は細胞密度が低い場合により顕著であった。3.EBV感染B細胞のIL-6産生、各種細胞株の培養上清中にIL-6依存生マウス・ハイブリド-マの増殖を促す活性が見だされた。この増殖活性は抗IL-6抗体により中和されること、さらに抗IL-6抗体を用いたウエスタンブロット法により23kdを主としたIL-6蛋白が同定された。4.EBV感染B細胞のIL-6遺伝子発現ノ-ザンブロット法によりIL-6mRNA発現が確認されたが、エンドトキシンなどの刺激をうけた単球に比べて微弱であり、これは単球と異なりEBV感染B細胞のIL-6mRNA発現が個々の細胞間での違いを示唆した。このことは、RNAリボプロ-プを用いたin situ hybridization法により確認された。以上、EBV感染B細胞株が、1)IL-6Rを発現IL-6に反応し増殖すること、2)IL-6mRNAを発現すること、3)IL-6蛋白を産生することより、IL-6が自己増殖因子として機能することが示さ...