金沢大学薬学部リソゾ-ム膜より,Mono Qカラム及びTSKーgel G4000SW_を用いてH^+ーATPaseを精製することに成功した。本酵素はSDSーPAGEで空胞系H^+ーATPーaseに共通にみられる(110),70,56,42,39,34,16kDaのサブユニット構造を示した。至適pHは7.0ー8.0、ATPに対するKm値は0.095mM、基質特異性はATP,dATP>GTP,ITP>UTPで、CTP,AMP,cAMPは無効,ADPは阻害した。二価金属要求性はMg^,Mn^>Fe^,Co^>Ca^で,Sr^,Ba^は無効、Cu^,Pb^,Zn^,Hg^,Cd^,Ni^は阻害した。Cl^ー,Br^ー,F^ーが活性化し、NO_3^ーは強く阻害した。bafilomycin A_1の他、NEM,NBDーCl,DCCSに感受性であった。また,16kDaサブユニットに対するcDNAの単離,抗16kDa抗体の調製にも成功,これらプロ-ブを用いた検討の結果,16kDa蛋白は腎臓と脳で極めて発現が高いこと,その遺伝子は複数存在することを明らかにできた。単クロ-ン抗体も調製できたが,インムノブロットには成功していない。更に,可溶化H^+ーATPaseを希釈法でリポソ-ムに組み込み,プロトン・ポンプ再構成に成功した。この過程で,リソゾ-ム膜上にK^+及びCl^ーに対するイオンチャンネルが存在することを示唆する結果を得た。H^+ーATPase以外の2種のATPaseについてもその性質を明らかにした。ATPaseII(360kDa)と類似のATPaseは,細胞膜上にectoーATPsaeとして存在する。両ATPaseを単離して比較した結果,至適pHとCa^/Mg^要求性が若干異なるものの,...