金沢大学理学部はじめに、変態時のエクジソンとJHの分泌量の変動を正確に知るため、それぞれの抗体をつくり、ラジオノムノアツセイにより測定した。とくにJHについては簡便な方法を開発した。翅原基中のエクジソン結合体量の成長にともなう変動を測定したところ、5令4日目、造繭直前および蛹化時にピークをもつが、作用しない5令初期にも存在することがわかり、エクジソンの作用時かそうでないかに関係なく、エクジソンによる合成誘導のないことがわかった。翅成虫原基から結合蛋白を分離・精製したところ、25KDと60KDに、強いエクジソン結合活性をもつ物質が得られた。その解離恒数は4nMレベルで、ショウジョウバエのエクジソン結合体と比較すると、分子は小さいが、結合力はほとんど同じことがわかった。カイコのレクチン様蛋白は、ほぼ体液中のエクジソンと同様に変動し、蛹化前にはエクジソンにその合成が誘導されることがわかった。その蛋白の精製と特性解析は、温度処理、酵素処理、SDS電気泳動、抗体作製などにより進められた。高温による不活化や、トリプシン処理による不活化はカイコレクチンがタンパクであることを示している。アフィニティクロマトグラフは、糖処理による不活化が、グルクロン酸ガラクツーロン酸、アンノース、ブドー糖、果糖の順に好くなることから、グルクロン酸をリガンドとした。アフィニティークロマトで分離したタンパクは、88KDと90KDで、硫安沈澱と加マグネシウムイオンバッファーで流出させた。DEAEカラムで分離した、血球凝集活性をもつ350KDのタンパクと共通抗原性をもつことから、88KDと90KDのポリペプタイドの4量体であると推定される。この他ニクバエの休眠蛹と非休眠蛹を誘導する条件で飼育した幼虫のエクジソン代謝を...