金沢大学医学部コンピュ-タ技術の進歩により生まれたdigital radiography system(DR)を利用して、フィルム/スクリ-ン系によるX線写真の限界を改善していくことが期待されている。我々はFuji computed radiography(FCR)を用いた一回撮影エネルギ-サブトラクション(ES)法の開発に取り組み、軟部組織のみの画像(soft tissue image)、骨組織のみの画像(bone image)をそれぞれ分離して得ることに成功した。今回の研究目的はCRーESの臨床応用の可能性をさらに検討し、各種画像検査法のなかでの位置づけを明らかにしていくことにある。臨床応用1)転移性肺腫瘍における単純CRとサブトラクション軟部画像の比較結果はCTスキャンで確認された転移結節は123個であり、うち単純CRでは78個(62.9%)、サブトラクション軟部画像では87個(70.2%)が描出されており、サブトラクション画像で多くの結節が描出可能となっている。サイズ別では16mm以上の比較的大きな結節影の描出では単純CR、サブトラクション画像であまり差はないものの、15mm以下の小結節影ではサブトラクション画像が優れている。肋骨陰影が消去されることにより、肋骨下の小結節影の発見がサブトラクション画像で容易になったことが示されている。2)CRーESの肺がん集検への応用肺がん集検の胸部X線写真にCRを用いることの意義としては、(1)画質が統一され、撮影ミスが減少する、(2)画像管理が容易となる、(3)被曝量が低減できる可能性がある、(4)各種画像処理により小結節影発見率の向上が期待できる、などが挙げられる。Postprocessing of image data is ...