Narrative of the hikikomori persons who found jobs on factors that enable to continue working

近年の実態調査（内閣府、2016、2018）により、推定で約115万人のひきこもり当事者が存在することが明らかになった。ひきこもり問題に対する社会の関心は高く、ひきこもり当事者の長期化・高齢化による8050問題などは社会問題として認識されている。そうした流れの中で様々な批判や概念の混乱を経ながらも、ひきこもり当事者の就労は依然として、ひきこもり支援の目標のひとつとして考えられている。本研究では、そうしたひきこもり当事者の就労に関して、より良い支援を行うための手がかりを得るべく、就労を果たしたひきこもり経験者へインタビューを実施し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて探索的研究を行った。その結果、ひきこもり経験者が就労へ至り、就労を継続していくプロセスに関する理論が生成された。また、本研究では生成された理論に基づき有効であると考えられる支援方法も示唆された。今後、本研究で得られた理論を実践の場に導入することで、理論の方法論的な限界を拡充していくことが求められる