金沢大学がん研究所ダックB型肝炎ウィルス粒子と特異的に結合する宿主膜蛋白質として発見されたgp180は、N末端側にカルボキシペプチダーゼドインを3個(N末端よりドメインA、BおよびC)タンデムに配列し、またC末端側に膜貫通領域、55残基からなる細胞質領域をもつユニークなアミノ酸一次構造をした新規蛋白質である。本研究では、gp180の構造と機能を理解するため、ヒトgp180(Hgp180)を対象にカルボキシペプチダーゼ活性と細胞質領域の機能について解析した。本研究を進めるにあたり、まずHgp180検出のためのモノクローナル抗体の作製を試みた。この結果、Hgp180ドメインAに特異的に結合する3つのモノクローナル抗体が得られた。そのうちのひとつ、抗体6-2-3は、Hgp180ドメインAのN末端側109〜137番アミノ酸配列内にエピトープマッピングされた。Hgp180を強制発現させた293T培養細胞の粗抽出液を用いた酵素活性の測定実験により、Hgp180がカルボシキペプチダーゼとして機能することを初めて証明した。また、Hgp180のカルボキシペプチダーゼ活性は、1、膜貫通領域を必要とするが、細胞質領域はいらない、2、ドメインAB領域でドメインCは不必要である、3、3つのドメインのうち、ドメインBのみ活性をもつことがわかった。gp180、は、その95%以上が細胞内に局在する。そこで、この細胞内局在性とHgp180細胞質領域との機能相関について、細胞質領域の各種変異体を作製し検討した。その結果、細胞質領域N末端側アミノ酸残基1334〜1344番が細胞内局在に重要であることがわかったが、そのシグナルは新規の配列であった。研究課題/領域番号:09267216, 研究期間(年度):1997出...