金沢大学理工研究域機械工学系本研究は、エア・ジェット・ルームのジェットから生じる空力騒音の作業環境悪化と公害問題の立場から、同軸噴流における騒音低減の最適加振条件や最適ノズル形状を明らかにすることを目的とし、ノズル肉厚や外側パイプ長さなどのノズル形状が異なった場合や、レイノルズ数および環状噴流と中心円形噴流の速度比など作動条件を変えた場合の噴流特性を熱線・熱膜プローブや画像処理により3次元的に測定し、噴流構造を調べ、非定常数値シミュレーションからも、同軸噴流の2つの混合層内の渦の挙動や相互干渉について調べた。主な結果は、(1)外側ノズルのパイプ長さによる渦励起現象は、速度比が0.5以下の場合に内側ノズルパイプ端部上面からの片側せん断層の渦が内側混合層内で成長発達し、外側ノズルのパイプ端部からの外側混合層内の渦と干渉することで生じる。そして、0.5に速度比が増加した場合、内側ノズルのパイプ端部上下面二つのせん断層による交互渦の流れパターンになる内側ノズル肉厚に依存する渦周波数になることを明らかにした。次に、(2)混合層内の渦構造のレイノルズ数の影響を調べ、層流域では外側ノズルのパイプ長さによる渦励起現象は生じず、渦周波数は速度比に比例して増加することを明らかにした。そして、渦の三次元構造を画像処理により示し、速度比0.5を境に軸対称モードとヘリカルモードの渦が同軸噴流で存在することを初めて見出した。以上のように、非加振時の渦構造について詳細に調べ、多重周波数加振による同軸噴流の混合制御のための基礎データが得られ、現在同軸噴流制御の研究を進めている。これら研究成果の一部は、日本機械学会論文集で報告し、関連学会の国際会議(東京、ベルリン)で発表する。研究課題/領域番号:087501...