背景 看護教育における病院実習は、学生がさまざまな患者と直接触れ合い、多くの看護実践を経験する学びの場となる。医療の高度化・複雑化により、あらゆるニーズを持った人々に対応していくために、看護職にはこれまで以上に高い能力が求められ、看護実践能力の強化が求められている。看護実践能力を培うに実習は極めて重要であるが、実習施設が変わり学生が適応するのに時間を要し十分学習することが困難であること、学生が実践できる技術が限られていることなど、学生にとって充実した実習ができる環境とは言い難い。 目的 看護教育における病院実習に関する研究の中で、学生を指導する立場である「指導者」と「教員」に焦点をあて、先行研究について文献レビューを行い、今後の病院実習に関する研究の方向性を検討する。 方法 医学中央雑誌(web版version5)で検索可能な1982年~2012年までの文献の中から、「臨床実習」and「病院」and「指導者」and「教員」の組み合わせで検索した。年代別に分類した後、内容別に帰納的に分類・検討し、今後の研究課題を展望した。 結果 1) 抽出された文献は182件であった。文献数は、2001年から徐々に増加していた。2) 分析対象とした107件の論文について内容別に分類した結果、(1)指導(2)評価(3)技術(4)学び(5)関わり(6)思いの6項目に分類でき、項目別に内容検討を行った。3) (1)から(6)について内容検討した結果、学生がよりよい環境で病院実習を行うためには、教員と指導者の連携が不可欠であることが示唆された。しかし、連携の具体的内容について研究されている論文は検索できず、長期的視点から実習指導体制ガイドラインを確立するための研究を行っていく必要がある。 結論 教員と...