背景 呼吸困難感は、慢性呼吸器疾患患者に苦痛や苦悩をもたらす代表的な愁訴であり、日常生活を制限し、生活の質を低下させる原因となる。呼吸困難感は主観的な感覚の訴えで、酸素飽和度の数値と相関しないために、客観的評価が難しい。特に間質性肺炎の中で「強い呼吸困難が典型的に出現する」とされる特発性肺線維症は、今後、看護ニーズが高まることが予想される。 目的 慢性呼吸器疾患 (特発性肺線維症を含む) における呼吸困難感の看護研究に焦点をあてて、文献レビューを行い、看護研究の今後の方向性を展望した。 方法 慢性呼吸器疾患 (chronic respiratory diseases) 、慢性呼吸不全 (chronic respiratory failure) 、特発性肺線維症 (idiopathic pulmonary fibrosis) 、看護 (nursing) 、ケア (care) 、呼吸困難 (dyspnea) の6つのキーワードを検索語として用いて、色々な組み合わせで医学中央雑誌データベース (1983年~2011年3月) とPubMed (1975年~2011年3月) を検索した。医学概説、学会抄録は除外した。抽出した文献の中から呼吸困難感への言及がある論文をピックアップした。これらの文献を研究内容の類似性に基づいて整理し、分析した。 結果 検索の結果、医中誌和文献41編、PubMed文献6編の計47編が得られた。47編の論文の中で量的研究は22編、質的研究 (事例検討や報告を含む) は25編であった。量的研究の内容は、慢性呼吸器疾患の呼吸困難感に影響を与える要因、身体心理社会面、日常生活動作要領や呼吸リハビリテーションの効果、呼吸困難感の看護などであった。質的研究では、慢性呼吸...