喫煙妊産婦におけるニコチンの胎児への影響 : 喫煙状況と臍帯血ならびに部分尿の検討

  • 金森, 京子
  • 高橋, 里亥
  • 藤田, きみゑ
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Publication date
March 2007
Publisher
滋賀県立大学人間看護学部

Abstract

背景 わが国における成人女性の喫煙率は先進諸国に比べて低い。しかし,近年における大都市の生殖年齢にある女性の喫煙率や,妊娠期間中,喫煙を中止できない妊婦の喫煙率は増加傾向にある。この傾向は,喫煙が次世代の育成に大きな影響を与えるという観点から,周産期管理上見過ごせない問題となっている。妊娠中に禁煙できなかった妊産婦(以後,喫煙妊婦)から出生した子供の異常は胎児性タバコ症候群(fetal tobacco syndrome ;FTS)と呼称され,喫煙が胎児に与える影響やメカニズムが明らかにされている。また,喫煙あるいは受動喫煙下にあった妊婦7名が出産した新生児の尿中から,ニコチンが検出された報告はあるが,分娩直後の臍帯血と児の部分尿を採取し,妊婦の喫煙状況による胎児へのニコチンならびにコチニンの移行状況を検討した報告は見当たらない。目的 妊婦の禁煙指導ならびに健康教育の指標とするため,喫煙妊婦から出生した新生児の臍帯血ならびに尿中のニコチン濃度と,その代謝産物であるコチニン濃度を測定し,妊婦の喫煙状況によるタバコ成分の胎児への移行を検討し,禁煙指導の指標とした。方法 平成14年7月〜平成15年12月の間に満期で分娩した妊婦15名の承諾と協力を得て,分娩前の面接により喫煙歴,FTQ指数(Fagerstrom Tolerance Questionnaire : ニコチン依存度),妊娠中の喫煙状態などを調査し,ならびに分娩前後の呼気中CO濃度の測定を実施した。また,分娩直後の臍帯血と新生児の部分尿を採取し,各々のニコチンとコチニン濃度を測定した。さらに,分娩後には妊娠・分娩・産褥経過や出生時の新生児の様子を記録した。結果 1)喫煙妊婦は減煙行動をとるが肺喫煙の傾向を認め,胎児の...

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