金沢大学附属病院LA検査は、検体中の残存血小板が偽陰性を呈する原因となることが従来指摘されてきた。そこで、本研究ではフィルター濾過を行った被検血漿を用いてLA検査を行い、検査に適切な検体処理の条件を評価し標準化することを目的としている。(1)採血に同意を得た健常ボランティア11名(男性4名、女性7名)から得た血漿を2種類のフィルター(フィルターA : 材質ポリスルフォン、水系、フィルターB : 材質ポリエーテルスルフォン、イオンクロマトグラフィー・水系、いずれもHLC-DISK、孔径0.2μm、関東化学)でろ過処理を行い、3種類のサンプルを作製した。血小板数、APTT-SLA、dRVVTの試薬1(R1)および2(R2)、PTT-LA、凝固因子活性(II、V、VII、VIII、IX、X、XI、XII)の測定を行い比較検討した。フィルターA、Bともにフィルターなし群に比べ、血小板数、凝固第VIII因子活性において有意に低下した(t-検定、いずれもp1.3を陽性とした場合、Fなしは13例、Fありは15例となり、陽性が2例増加した。PTT-LAの正常血漿との混合試験では混合曲線が上に凸となる場合を陽性とした。フィルターの有無によらず陽性5例であったが、患者血漿対正常血漿の混合比が4:1、1:1の場合、Fありの場合有意に秒数が延長した。したがって、混合曲線において、LA陽性の上に凸パターンがより増強する可能性が示唆された。以上の結果から、フィルター処理を行うことによりLAの検出感度が向上する可能性が示唆された。研究課題/領域番号:15H00614, 研究期間(年度):2016出典:「A抗リン脂質抗体症候群におけるLA検査標準化を目指した検体処理法の検討」研究成果報告書 課題番号15H0...