金沢大学医薬保健研究域医学系ラットの後肢筋を用い,タリウム-201(^Tl)の取込を検索し,次のような興味ある新しい結果を得た。投与時間ごとに分けた実験Iでは投与30分と1時間後に,ヒラメ筋(Sol)の取込率は5っの後肢筋に比べて最も高い値を示した,しかし投与12時間後にSo1は最小値に減少した。また足底筋(Pla),腓腹筋(Grit),前脛骨筋(TA)と長趾伸筋(EDL)の取込率は時間経過により増加した。この実験によって抗重力筋である赤筋の取込が多いことが観察されることから、^Tlは筋の血流量を計測することで筋の病態生理を知ることができる有効な手段である。全身麻酔下群とコントロール群の実験IIでは^Tl投与30分後に取込率を比較した。意識があるコントロール群の取込率は麻酔群より全体的に高く,SoI/EDLの取込比率が高かった(2.5対1.3)。本法は動物の意識と活動レベルの違いから末梢血流量の差がでることが明らかになった。3週間の後肢懸垂モデルラットとコントロール群の実験IIIでは正常ラットのSolにおける高^Tl取込,後肢懸垂群Solの低値を示す取込の特徴的な現象が観測された。後肢懸垂後の再荷重時間10分間群(R10m群)6時間群(R6h群),24時間群(R24h群),4日間群(R4d群),12日間群(R12d群)の実験IVではSo1,Pla,Gasの屈曲筋群の^Tl取込がR10m,R6h,R24hには高くなっておりR4dにはPlaとGasの取込率が有意に下がっているのが観測され,このことから廃用によって末梢の循環状態を知り得ることができた。又,オートラジオグラフィーにより各筋のタイプI筋線維が集合している部位に^Tlの濃度も高く観察された。更に,^Tlを用いることによっ...