金沢大学がん進展制御研究所HBV X蛋白(HBx)はRNA polymerase subunit 5 (RPB5)及びTFIIBと相互作用し、転写のcoactivatorとして機能することをin vivo及びin vitro転写系で報告した。我々は、多機能制御蛋白HBxについて、集約型アラニン置換変異(Cm)ライブラリー等を用いて,転写修飾の分子機構、HBVウイルス増殖への役割、ヒト初代細胞への形質転換能の検討を行い、以下の結果を得た。1)HBxのCm変異ライブラリーの解析により、RPB5結合に必須な配列をcoactivationドメイン内に限定した。この配列は、coactivationに必要な配列の一部の配列であった。HBxの核内標的であるRPB5のCm及び点置換変異(Pm)ライブラリーを用いて、HBxの結合に必須な6残基を特定し、その内4残基はTFIIFサブユニットRAP30との結合にも必須であった。これら4残基の変異酵母RPB5は、増殖温度感受性を示した(J. Biochem(Tokyo),2005)。2)RPB5のDNA結合能を、ゲルシフト法で確認した。結合に必須な残基をRPB5のCm及び点置換変異(Pm)ライブラリーを用いて解析した結果、溶媒に表出したT111が必須で、S113が重要な役割を果たしている結果を得て、RPB5のDNA結合能がRPB5の転写修飾の標的である可能性が提出された(投稿中)。3)ヒト初代細胞の不死化と、ヒト不死化細胞の形質転換にHBxがどのような効果を持つかを解析した。野生型及び各種HBx発現レトルウイルスをヒト初代細胞及びヒト不死化細胞に導入し、不死化率と形質転換率を測定した。その結果、HBxは単独では、ヒト初代細胞の不死化にも、hTERT導...