【背景】重度心身障害児(以下重心児)は, 重度の運動障害および重度の知的障害を有するため, 自分の感情を言語化できず, 表情や行動で表出することも困難である。同一姿勢保持を余儀なくされることも多く, 圧迫部位などの皮膚は, 湿疹, 痒みなどの不具合を訴えることができない不快な状態にあり, ストレスの誘因の1つと考える。 【目的】清潔援助であるスキンケアは, 重心児に快感情を提供できるケアであり, ストレス軽減につながるかを検証する。 【方法】対象は, 超重症児を除いて医師の許可の範囲で, 臨床看護師に選択してもらった。温タオルで清拭する統制群と「カラダキレイ」を使用して清拭するスキンケア群(ケア群)をランダムに振り分けてもらった。実施前にカラダキレイの商品の皮膚テストを行い確認して行った。清拭は臨床看護師が担当し, データ収集は(水分値・油分値・心拍数・唾液アミラーゼの採取)研究者が行った。 【結果】水分値はケア群38.8(7.25)が57.0(7.82)と有意に上昇した(ρ<.10)。 両群とも唾液アミラーゼは高値を示し前後に有意差は認められなかった。 【考察】スキンケアの結果, 水分値・油分値ともにケア群が有意に上昇しており, 皮膚の脆弱な重心児においては, 皮膚トラブルの予防や痒みによるストレスの発症の予防にもつながる。心拍数は, 自律神経の生理的反応の指標としてとらえられており, ケア群における心拍数の低下は, 快の提供による安定が得られたと推察できる。アミラーゼは、300~1000と非常に高いストレス状態にあることが示された。重心児の援助は高い技術と快となるケアが求められることを示唆するものである。 【結論】水分値・油分値ともにケア群が有意に上昇と, 心拍数の低下か...