変成鉱物中の細粒包有物は, 多くの場合包有する変成鉱物の成長時に取り込まれることによって形成される. したがって, 細粒包有物の同定・解析は, 変成作用の過程を明らかにする上で有用である. しかし, これまで鏡下観察や電子プローブマイクロアナライザーによる表面分析では, 細粒包有物は充分に同定できない場合があった. 本稿では, この問題を克服するために, 九州大学大学院比較社会文化研究院地球変動講座に設置されているデジタルマイクロスコープと顕微ラマン分光分析装置を用い, 多数の微細包有物を解析する多深度解析手法を確立した. この手法では, 1μm間隔で撮影した鏡下写真とそれらの合成画像から, 包有物の三次元位置, 形状, 粒径, 色を迅速に明らかにすることができる. また, 形態による分類と包有された位置を元に, 顕微レーザーラマン分光分析装置を用いてすべての種類の包有物が同定可能である. 本手法は, 岩石学的研究はもとより, 透明物質中の内部包有物や不純物を扱う他分野にも応用できるものである.Fine-grained inclusions in metamorphic minerals are generally regarded to be trapped during the growth of the host metamorphic minerals. It suggests that identification and analyses of the each fine-grained inclusion are quite important in understanding each metamorphic evolution. However, ident...