会話分析あるいは談話分析とよばれる研究領域には様々なアプローチが存在し、それぞれの手法でいわゆる文法を越えたより広いレベルを研究対象にしている。特に組会言語学者や言語人類学者の行う会話分析/談話分析では、実際の会話が録音され、その詳細が言謎・分析される。そして会話参加者によるコミュニケーション活動がどのような特質を持ち、いかなる影響を受け、どのような効果を生み出すのか、などが研究される。会話/談話に対するこのようなアプローチは多くの成果を上げ、母国語話者(特に英語母国語話者)の談話能力及び談話構造の解明に多大な貢献をしてきた。本稿では、英語を母国語としない話者の英語による会話の記述・分析を行った。分析対象としたのは日本人女性同士の会話と、日本人女性と台湾人男性による会話、及びアメリカ人男性同士の会話で、いずれも1991年に米国ミシガン州にて録音されたものである。協力して頂いた日本人女性2人と台湾人男性は、録音当時3年から5年のアメリカ滞在経験を持つ大学院生で、比較的高い英語運用能力を有する話者であった。会話における個々の発話(utterance)はそれぞれ重要な機能を担っている と考えられるが、本稿では特に話題変換のbpic Change)、割り込み(interruption)/重複(overlap) 、会話物語(narrative) の3つの観点に絞り考察を行った。話題変換が生じているところでは、漸進的話題権移(topic shade sequence)や相互交渉的及び一方的話題推移(collaborative and unilateral topic transitions)が観察された。 また、話題変換を示すために格言的結論(aphoristic conclusion)...