Diversification of labor policy decision-making process : Analysis of Deliberation days in the Council and the Diet about Labor-related Cabinet Bill

  • 原田 悠希
Open PDF
Publication date
March 2020
Publisher
法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会
Language
Haitian; Haitian Creole

Abstract

労働政策の政策決定過程は,公労使の三者で構成される審議会を中心に関係者間の利害調節が図られることに,その特徴があると指摘されてきた(篠田1986,久米2000,2005)。この点,近年の労働政策の分野での先行研究では,事例研究の手法により,内閣主導のトップダウン型の政策決定の仕組みの下で,労働政策審議会における関係者間の利害調整機能が低下し,国会での議論に利害調整が持ち込まれているという旨の指摘がなされている(中村2006,2008,三浦2002,2007)。しかしながら,これらの先行研究は個別具体的な事例の検討を行っているものであり,数多くの労働政策の政策決定過程の事例について,データを用いて統計的に分析を行っている訳ではない。このため,本稿では,「労働関係の内閣提出法案について,1990年代後半の橋本行革以降,審議会中心の政策決定過程がどのように変容したのか」という問題関心から,審議会と国会での審議日数のデータを統計的に分析することにより明らかにすることとした。この分析の結果,従来から指摘されてきた審議会で関係者間の利害調整を図る政策決定過程のほかに,国会での議論を含めて関係者間の利害調整を図る政策決定過程,内閣主導の会議体での議論から関係者間の利害調整を図る政策決定過程が新たに見られるようになったことが分かった。これは,関係者間の利害調整を図る場が多様化し,政策決定過程の在り方が複線化していることを示唆している。労働政策の政策決定過程においては,内閣提出法案の性質・内容に応じた政策決定過程を選択する必要があることが実務的な示唆として得られる

Extracted data

We use cookies to provide a better user experience.