本論では,高等学校段階での英語学習におけるスローラーナー1 を多く抱える集団を対象に,授業のなかで,さらには学校生活全体のなかで英語,もしくは学習全般についての指導を行う際,学習者とともに創る授業をよりよくしていくために,教師が観るべきもの,行うべきことに焦点を絞り考察する。目の前にいる生徒が英語学習にどの程度意欲的であろうとも,「主体的・対話的で深い学び」の観点からよりよい授業を目指すためには,指導者としての発問技術や,ペアワーク・グループワークなどの有効活用をはじめとした,授業における指導力の向上も英語教育において欠かせない論点ではあるが,本論では「教師と学習者の関わり合い」にフォーカスすることで,教員の内面から授業改善に資するヒントを得ることを試みる。授業は教師と生徒 (学習者) が一緒に創るものであるが,その協力関係の根底をなすものはコミュニケーション能力に他ならない。そのコミュニケーション能力の育成が最も重要視されている2020 年度からの小学校外国語教育の教科化が,いよいよ目前に迫ってきた。とりわけ高校教育現場に身を置く者としては,これまでもそうだが,今後はより一層,「授業(「外国語活動」および「外国語科」) としての英語教育に触れてきた時間が長い生徒を預かっているのだ」という意識を強く持たなければならない。換言すれば,これまで通りの授業でよいという甘えを一切排除し,日々の授業の振り返りと改善を継続する力が求められる。具体的にどのような行動を起こすべきか,そしてその行動はどのような信念に支えられることでより効果を発揮するのか,普段の実践報告も交えながら多角的に考察し,来る次年度に備えることを主たる目的としている