原本が未発見の『歎異抄』蓮如本における修正箇所の客観的観察は、作者・構成・書写時期の謎を解き、作者・顕智説と師訓篇・歎異篇入れ換え説を提言できる。蓮如の「教育的回心」後の『御丈』は特に吉崎時代に大きな教育的成果を齎らした。その時代の教化活動は「山中の御丈」の「自心教人信」と二首の和歌の関連に総括される。それは『歎異抄』の指導者論を踏まえ、法然上人と親鷲聖人の独自な師資相承論を創造的に統合し、そして今日的教育課題である生涯教育的学習指導論の基礎・基本と原理・原則を具体的に実践的に示唆することをわれわれは『歎異抄』研究と同じ方法に依って明らかにした。「山中の御丈」「生涯教育的学習」「自心教人信」「和歌
石野政雄氏手拓本について影印叢書『好色一代男』シンポジウムコンピュータ国文学文庫紹介㉓新収資料紹介㊶新収和古書抄彙報平成8年度共同研究第十九回国際日本文学研究集会「セミナー原典を読む」利用者へのお知ら...
尾崎翠作品には「片恋・失恋」のモチーフが頻出し、登場人物はしばしば三人のうち、どの二人も組になってゐないトライアングル」を形成する。登場人物たちのほとんどは「儚いワガボンド」であり、影と共に歩き、影と...
仮名垣魯文による切付本『成田山御利生記』は、当時再建を目指して成田山の開帳が各地でなされた際に刊行されたものだが、その諸本を紹介したうえで、その本文・挿絵の改刻を巡る問題を具体的事例に則し呈示し、作品...
原本が未発見の『歎異抄』蓮如本における修正箇所の客観的観察は、作者・構成・書写時期の謎を解き、作者・顕智説と師訓篇・歎異篇入れ換え説を提言できる。蓮如の「教育的回心」後の『御丈』は特に吉崎時代に大きな...
現代詩史上画期的な詩集である田中冬二詩集『青い夜道』に収録された全詩篇の、綿密な註釈を目的とする。今回は第25篇目に当たる詩「山へ来て」(全11章句)の註釈である。作品に即しつつ、できる限り冬二の詩精...
本論ではまず芥川自身の自伝的な小説に対する考え方を明らかにし、次に『或阿呆の一生』の全五十一章で語られている出来事と芥川の実際の年譜を照らし合わせ、実生活における史実関係について検証する。検証には芥川...
虱を主人公とする御伽草子『白身坊』からは千手観音信仰の反映が看取される。中世『法華経』注釈書は虱を詠み込んだ道歌を書き留めており、これらが伝承されてゆく過程と、『白身坊』成立の過程とは重なり合うと思わ...
現在、源氏物語の注釈書といえば、大島本・定家本源氏物語などの青表紙本系統本のもの以外皆無と思われる状況であるが、そろそろ、この状況から解き放たれたい。自筆本の存在無く、数多くの伝本の総体がこの物語の真...
『日本書紀訓考』は明治十二年の刊記を持つ日本書紀神代巻についての注釈書(未完)であり、越後柏崎の関四郎太なる人物が著したものである。内容は本居宣長『古事記傳』に範を取り、全面的に依拠して、此に匹敵す...
打消推量の助動詞「まい」は、室町期に形成され、当初、同じ打消推量の助動詞「まじ>まじい」「じ」と共存したが、やがてそれらも「まい」によって統合された。その統合の役割を担った「まい」の通時的変化を、他の...
藤原定家の下官集は定家仮名遣の基本資料として多くの研究があるが、書誌的な検討がまだ進んでいないように思われる。また、仮名遣史研究と和歌研究との二つの領域の情報交流も十分ではない。本稿は研究史を整理・評...
「尾崎一雄研究-戦後の虫に関する作品から見た死生観(上)」では、一雄の私小説における技法と思想、戦争観を探り、その後戦前と戦後に書かれた虫作品三作を検証した。今回はその結果を受け、『こほろぎ』の次に発...
入江昌喜書き入れ本『海人の刈藻』を中心に、近世期における中世王朝物語享受の一端について検討する。昌喜は享保七〈一七二二〉年に生まれ、寛政一二〈一八○○〉年に没した大阪の町人学者である。『海人の刈藻』の...
横光利一の『上海』に描かれた街「上海」とそこで生じた「出来事」は、「上海」から読みとられる連続性をもとに再構成しうるという特徴を持っていることに着目し、小説内部の構造を明らかにした。その結果、『上海...
西尾市岩瀬文庫に所蔵される御伽草子『岩竹』については、酒呑童子や土蜘蛛など、先行の武勇伝をはじめ、『塵滴問答』との密接な関連が指摘されている。従来、これら以外に類似する説話は報告されていないが、『岩竹...
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仮名垣魯文による切付本『成田山御利生記』は、当時再建を目指して成田山の開帳が各地でなされた際に刊行されたものだが、その諸本を紹介したうえで、その本文・挿絵の改刻を巡る問題を具体的事例に則し呈示し、作品...
原本が未発見の『歎異抄』蓮如本における修正箇所の客観的観察は、作者・構成・書写時期の謎を解き、作者・顕智説と師訓篇・歎異篇入れ換え説を提言できる。蓮如の「教育的回心」後の『御丈』は特に吉崎時代に大きな...
現代詩史上画期的な詩集である田中冬二詩集『青い夜道』に収録された全詩篇の、綿密な註釈を目的とする。今回は第25篇目に当たる詩「山へ来て」(全11章句)の註釈である。作品に即しつつ、できる限り冬二の詩精...
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打消推量の助動詞「まい」は、室町期に形成され、当初、同じ打消推量の助動詞「まじ>まじい」「じ」と共存したが、やがてそれらも「まい」によって統合された。その統合の役割を担った「まい」の通時的変化を、他の...
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仮名垣魯文による切付本『成田山御利生記』は、当時再建を目指して成田山の開帳が各地でなされた際に刊行されたものだが、その諸本を紹介したうえで、その本文・挿絵の改刻を巡る問題を具体的事例に則し呈示し、作品...