石灰化嚢胞性歯原性腫瘍(以下CCOT)は病理組織学的に,裏装上皮内にghost cellの出現とそれらの石灰化を特徴とし,また,歯牙腫をはじめとする歯原性腫瘍を合併することがある.さらに,CCOT症例の半数前後は埋伏歯を伴うことが知られているが,複数の埋伏過剰歯を伴うことは稀である。今回われわれは,歯牙腫と8本の埋伏過剰歯を伴ったCCOTの1例を経験したので,その概要を報告する.症例は40歳代の男性で,近歯科医院を受診した際にX線検査にて右側上顎洞部に嚢胞様透過像が認められ,精査・加療目的に当科紹介となった.初診時,上顎右側側切歯から右側第一大臼歯部の頬側歯肉に弾性軟の腫脹を認め,波動が触知された.CTにて,右側上顎洞および鼻腔の下部に境界明瞭で単胞性の嚢胞様病変を認め,病変内部に大小の石灰化像および歯牙様石灰化像を認めた.全身麻酔下にて摘出術および対孔形成術を施行した.摘出組織ではCCOTとともに歯牙腫ならびに8本の埋伏歯を認めた.病理組織学的に上皮層内にghost cellとその石灰化がみられた.文献的に本症例のように複数の埋伏過剰歯を伴ったCCOTはきわめてまれであった.It is well known that an associated impacted tooth is seen in about half of cases with calcifying cystic odontogenic tumor (CCOT), but CCOT with two or more impacted teeth is extremely rare. This paper reports a case of CCOT with 8 impacted, supernumerar...