産業連関分析の1 つの手法である「単位構造分析」とは,ある特定産業の最終需要が1 単位だけ与えられたという条件に基づいて産業連関表の特定化がなされ,その最終需要を実現するための産業連関構造を表す「単位構造行列」を求め,その単位構造行列を用いて行う分析である.そこで,単位構造行列には特定された産業の生産物だけを生産するための生産の系列が存在しているという仮定を設け,その仮定にしたがって,生産の系列化が存在しているならば,その系列はどの様な性質を持っているかを検討してみることにした.そこで,ティッシュペーパーを一箱生産するという仮説例を取り上げ,その仮説例において系列が存在するならば,投入係数行列がどのような性質を持っているかを調べてみると,横軸に投入係数行列の縦方向の列和である中間投入計を取り,縦軸に投入係数行列の横軸方向の行和である中間需要計を取ることによって,各産業の散布図を描くと,川上部門,川中部門,川下部門のそれぞれが位置する領域が特定化されることが示された.これにより,従来は見えにくかった,各産業の取り引きの系列が具体的に示されることになった.したがって,単位構造行列とは,従来は重層的にしか存在していなかった各産業の系列が,個別に分解された行列を表したものとみなせることになる.One method of input-output analysis is “unit structure analysis,” in which the input-output table is specified based on the condition that only one unit of final demand for a specific industry is giv...