ホルモン感受性乳癌患者においては,内分泌療法を選択する上で,閉経状況が重要である.また,先行する化学療法によって無月経になることがあり,閉経前・後の判断は難しい.今回,我々は化学療法後に無月経状態であったにも関わらず,高エストロゲン血症を呈した1症例を経験したので報告する.症例は診断時42歳の女性.左乳癌に対して左乳房切除及び腋窩リンパ節郭清術を施行した.病理検査結果は硬癌,核グレードIII,エストロゲン受容体陽性,プロゲステロン受容体陽性,HER2陰性,リンパ節転移2個であり,術後補助療法として複合化学療法施行後にタモキシフェンを内服していた.化学療法中より無月経であったが,化学療法開始後2年4ヶ月後にホルモン状態を確認したところ血清エストラジオール(E2)は567.2 pg/mlと高値であった.化学療法後に1年以上無月経であっても,卵巣機能は保持されている症例があり,定期的な血清中のE2およびFSH を測定し,閉経状況を評価する必要がある.In patients with endocrine-sensitive breast cancer, the menopausal status is important for the selection of endocrine therapy. When chemotherapy is administered prior to endocrine therapy, it becomes more difficult to judge the menopausal status. We report a premenopausal breast cancer patient who developed amenorrhea af...