中國史研究小録(17) : 甲骨版埋藏處考(上) : 殷墟を中心として

本論は殷代占卜制の一環として、占卜後の甲骨版の處理について論じたものである。一九二八年に始まる、二十世紀の殷墟の考古學的な發堀は、甲骨版の出土地點あるいは「探坑」や「穴窖」などの種類を明らかにし、當該テーマ考察の基礎的資料を提供するところとなった。ここでは、まずこれらの資料を卜辭の「分類と時代區分」との關連で整理し直したうえで、これまでの占卜制研究の成果、すなわち、甲骨の材質の相違や貢納制、あるいは神聖政治の變質の顴點から、使用後の甲骨板が、「埋藏」された意味を考察する