Effect of acidified porous hydrated calcium silicate applied on the water holding capacity of nursery bed soil

酸性化多孔質ケイ酸カルシウム水和物が育苗培土の保水性におよぼす影響について,育苗試験で検討した。水稲苗のケイ素含有率は,ケイ酸資材の苗箱施用によって高まり,乾物重も増加する傾向が見られた。3葉期に床土を水分飽和させ,その後潅水せずに観察したところ,酸性化多孔質ケイ酸カルシウム水和物を施用した区の苗は,無処理区とシリカゲル施用区よりも水分ストレス発現が遅かった。水分飽和後の水稲苗と育苗培土の水分含量は,酸性化多孔質ケイ酸カルシウム水和物を施用した区において高く推移する傾向が見られた。遠心法により測定した-100kPa,-600kPa時の水分含量は酸性化多孔質ケイ酸カルシウム水和物を施用した区で無処理区とシリカゲル施用区よりも高かった。また,酸性化多孔質ケイ酸カルシウム水和物を施用した床土の水分含量の実測値は,無処理区と酸性化多孔質ケイ酸カルシウム水和物自体の水分含量から計算して求めた理論値よりやや高く,酸性化多孔質ケイ酸カルシウム水和物自体の水分保持能と,わずかな育苗培土の物理性改善効果が認められた。以上より,酸性化多孔質ケイ酸カルシウム水和物の苗箱施用は,水稲苗の苗質を向上させるとともに,育苗培土の保水性が向上し,水稲苗の水分ストレスの発生抑制効果が期待される