A case of maxilla and malar bone osteoradionecrosis in a diabetic patient involving brain abscess

糖尿病患者は, 感染防御能が低く, 治癒能力も劣ると言われている。今回糖尿病患者の上顎骨, 頬骨の難治性放射線骨壊死から, 脳膿瘍を形成した1例を報告した。患者は63歳の男性で, 右上顎洞の横紋筋肉腫に対し放射線療法, 手術療法および化学療法の併用療法を施行したところ, 腫瘍は制御し得たものの, 上顎骨および頬骨に放射線骨壊死が生じた。局所洗浄と高圧酸素療法によって, 放射線骨壊死は一時改善した。しかし, 食事療法が不徹底だったことにより血糖値が高値に経過するなかで, 再び上顎に感染が生じ, 広範囲の腐骨の露出がみられるようになった。そこで, 血糖値のコントロールを計りつつ, 広範な腐骨除去術を計画した。ところが, 血糖値をコントロールするための内科的検査をすすめたところ早期胃癌が発見されたため, 胃全摘出術を優先させた。しかし, 胃全摘術後肺炎を併発し, 腹部術創は緑膿菌感染を生じた。そして上顎の感染は眼窩より脳膿瘍に進展した。脳膿瘍は脳外科的に治療を計ったが, 肺炎の悪化にて死の転帰をとった