Long Term Observation after Treatment on a Skeletal Class III Open Bite Case Corrected by Obwegeser-Dal Pont\u27s Method

外科矯正治療症例の術後の咬合の安定性を長期にわたって詳細に把握することは, 同様な施術を行う他の症例の治療計画立案に重要な指針を与えてくれる。今回我々は術後長期観察を経た外科矯正治療症例の中に咬合の後戻り傾向を示した1症例を得たので, その原因について考察した。症例は初診時17才9ヵ月の女子で, 開咬と下顎左右非対称を伴った骨格性下顎前突と診断された1例である。上顎左右側第1大臼歯, 下顎左右側第2大臼歯の抜歯を含む術前矯正治療10ヵ月後, 下顎枝矢状分割法(Obwegeser-DalPont法)による形成術を行ったが, 開咬状態の完治が認められないので2週間後に再手術を施行した。その後, 8週間の顎間固定, 11ヵ月間の術後矯正治療, 6ヵ月間の保定を行い, すべての装置を撤去した後4年2ヵ月間の観察を行った。動的矯正治療終了後4年8ヵ月間の観察では軽度の前歯部開咬を主とする咬合の後戻り変化が生じた。この咬合変化の要因には舌が関与する可能性が大きいことが推察された。従って, 重度の骨格性開咬症では, 長期にわたる咬合の安定性を得るためには, 下顎枝矢状分割法(Obwegeser-DalPont法)を単独に行うのみならず, 舌に対する外科的処置の可能性が示唆された