【目的】タンパク質は高い反応効率と選択性を持つ生理活性物質であり、次世代の医薬品として注目されているが、標的部位以外で働くことで重篤な副作用を生む危険性もあり、安全に疾患部位に送達し作用させた上で、余剰なタンパク質は速やかに排出できるキャリアが望まれている。キャリアの可視化により、疾患部位への送達を確認後、外部信号を用いた局所的な機能発現が可能となり、さらなる治療効果の向上と副作用の低減が期待できる。我々は過去に、細胞毒性の低い親水性光応答性ナノ粒子ゲルを開発し、機能性タンパク質を細胞内で数日間安定に保存し、外部刺激による時空間的な機能制御に成功している(参考文献)。これらの親水性ナノ粒子ゲルは、低い毒性や内包物の汎用性から医薬品キャリアとして有望であり、本研究では陽性のMRI造影剤であるMn2+を親水性ナノ粒子ゲルに包含し、MRIを用いてin vivoでの動態をマウスにて評価すると共に、蛍光および電子顕微鏡(TEM)によりナノ粒子ゲルの生体内での変化を調べた。【方法】タンパク質、MRIマーカー分子と共に各種ゲル材料を重合し、タンパク質内包ナノ粒子を調製した。このナノ粒子をマウスの尾静脈から投与した後、MRI(7-T, Bruker BioSpin社)および生体蛍光イメージング(マエストロ, PerkinElmer社)で体内動態を観察した。腎排泄後のナノ粒子の構造を調べるために、フェリチン内包ナノ粒子をマウスに投与し、尿に排泄されたナノ粒子をTEMで観察した。【結果・考察】MRIと蛍光の両方で、投与直後から膀胱・尿に強いシグナルが観察され、尿中で、投与前と同じフェリチンを含む粒子構造がTEMにより観察された。MRIと蛍光で造影可能なタンパク質製剤キャリアである本ナノ粒子ゲルは...