2011年3月に発生した福島第一原子力発電所 (福島第一原発:FDNPS) 事故から2015年で約4年が経過し、環境中へ放出された放射性物質は、海水を通じて海底堆積物にも移行した。福島第一原発から半径20 km圏内における堆積物中の137 Cs濃度は、事故直後の2011年4月に数1000 Bq kg-1-dryであったが、2015年1月現在に事故前 (2000年代;~ 2.0 Bq kg-1-dry) の10倍程度の濃度まで減少している。しかし、海水に比べてその濃度の変動幅が大きい [1]。東京電力や原子力規制庁などの海洋モニタリングでは、エッグマンバージ採泥器を用いて堆積物を採取し、表層部 (深さ0-3 cm) の放射性セシウム (Cs) 濃度の測定を行っている。宮城、福島および茨城県沖の水深 100 m以浅における堆積物 (0-10 cm) 中の放射性セシウム存在量に対する表層部の割合は40 %以下であることが報告されている [3]。また、河川堆積物中の粒子別の放射性Cs濃度は、粒径の小さい粒子の方が高い傾向にある。従って、様々な粒径から構成される沿岸堆積物中の放射性Csの濃度や存在量の水平および鉛直分布の比較を行うためには、粒径の違いを考慮に入れる必要がある。そこで本研究では、福島沿岸域の堆積物中の粒径別の放射性Cs濃度や存在量から、放射性Csの濃度分布の要因とその挙動を明らかにすることを目的とし、その結果以下のことが分かった。(1) 堆積物中の粒子は、測点M02とNP1、NP3で微粒砂から粗粒砂、測点M01で極粗粒砂と微粒砂から粗粒砂、の割合が高かった。堆積物の各粒度の鉛直分布は、1)深さ 0-1 cm から4-5 cmにかけて細粒化し、それよりも深い層で粗粒化 (測...