近年、日本の大学生の学力低下が問題となり、大学生であるにもかかわらず高校程度の内容の復習から学習を始めざるを得ないという状況がある。さらに今後も日本社会の少子化や、それに伴う入学選抜試験の多様化等により大学生のリメディアル教育が必要となってくることが考えられる。そこで本稿では全ての学力の基礎となる日本語の効果的なリメディアル教育を行うための基礎的な手がかりを得るため、理系の大学での日本語リメディアルの実験授業を行い、リメディアル教育の効果的な方法について検証した。実験授業は理系の大学で3ヶ月行い、受験勉強的な問題を系統的に学習するドリル型コースと楽しく学んでもらうことを目指したアクティビティ型コースの2コースを実施した。これら2コースと授業を受けない統制群とでプリテストとポストテストを実施し成果を比較した。テストは受験用読解問題方式のリーディングテストと、簡単な指示で短い作文を書くライティングテストを行った。この結果、リーディングテストではドリル型コースでプリテストとポストテストで有意差が見られ成果が確認されたが、ライティングテストではアクティビティ型コースで顕著な成果が見られた。リーディングは3ヶ月程度の短期間ではわずかの伸びしか見られなかったが、ライティングは学習者の気づきを促し、動機を高めることができれば短期間でも効果が得られることがわかった。また、今後コンピュータを使ってのリメディアル教育の可能性もあるが、実験授業ではメンターの存在が学習者にとって重要であったことがわかったことから、コンピュータを導入する場合でも適当な指導者の指導が必要であると言える。Recently some Japanese universities and colleges experience...