最近,歯・顎顔面領域では歯科用コーンビームCT(CBCT)急速に普及している.CBCTは医科で用いられている多列検出器CTよりも被ばく線量が低いことを利点としていたが,一部のCBCTは多列検出器CTよりも患者被ばく線量が高いことが2010年11月23日のニューヨークタイムズ紙に掲載され,物議を醸した.国際放射線防護委員会は,放射線診断における患者防護の最適化を促進するために,診断参考レベルの使用を勧告している.しかし,わが国では診断参考レベルは未だ確立されていないため,その確立が急務となっている.CBCTの診断参考レベルはSEDENTEXCTにより提案され,そこでは面積線量の使用を推奨している.10年ほど前から光刺激ルミネセンス線量計(OSLD)が個人モニタリングなどで用いられている.この線量計は,熱ルミネセンス線量計に比べ,取り扱いが単純で簡単,また,読み取りも容易と報告されている.診断参考レベルを決定するための広域調査に用いる線量計には,取り扱いが単純で安価,そして,測定値の信頼性が要求される.我々はその条件をすべて具備し,満足できる線量計としてOSLDに着目し広域調査に耐えうる線量計か検討を行った.OSLDの診断領域X線における線量直線性,エネルギー依存性,方向依存性についての定量評価を行った.次に,その応用として人体等価ファントムにOSLDを挿入し,歯科領域で多く利用されているパノラマ撮影装置における臓器線量の測定を行った.そしてこれらの結果は,既報されているTLDによる臓器線量と比較し,その妥当性を評価した.さらに,東京および東京近郊のCBCTを設置する21施設の歯科診療所について,OSLDとX線フィルムの組み合わせによる面積線量の測定を実施し,面積線量が簡便に,ま...