1殻体再生の初期段階における有機基質の形成と炭酸カルシウムの沈着の関係を明らかにすることを目的として,アコヤガイを試料として,in vitroでの軟体動物殻体再生実験および上皮組織培養実験が,in vivoでの結晶形成実験とともに行なわれた。2これらの実験の結果,石灰化初期段階に,MSI60と思われる不溶性膜成分が形成され,この不溶性有機基質膜問で,Sに富む可溶性有機基質と思われる成分の働きにより方解石結晶核が形成されるということが明らかになった。この事実は,compartment theoryを支持するととも,templateの存在をも暗示したため,template theoryをも支持する結果となった。3実験の最終段階で,方解石からなる稜柱層に類似の微細構造の形成が認められた。このことから,アコヤガイでは,真珠層の形成に先立って稜柱層の形成が必須であることが示唆された。Molluscan shell consists mainly of CaCO_3 with small amount of organic matrix. CaCO_3 crystals which have two polymorphs of aragonite and calcite, are arranged into specific direction and form microstructure with geometric alignment. Species used for this research are Pinctada fucata martensii, whose shells are composed of inner aragonitic nacreous and out...