EUや東アジア共同体の構想など国際共同体の構築が盛んであるが,これは「国家主権」を上位機構に移転する形でなされる。「主権」は旧約聖書(イザヤ書9章6節)にある通り「主のもの」であったが,近代政治思想家ホッブズの著作『リヴァイアサン』の影響を主要な転換点として,神の主権から国家の主権へと「主権」の意味合いが変遷した。歴史的に,例えば英国では,英国政府という人間の統治機構に(神の代理として,という留保は付くものの)「主権」がいわば「移譲」された。キリスト教の持つ宗教的権威すなわち神の主権が王の世俗的権威すなわち国家主権の枠(内に位置するような状況が現出したのである。しかし人のエコノミー(共同体規範)と神のエコノミー(経綸)とは等価ではありえず,現代の国際共同体は人の統治に余る諸問題を抱えている。神の経綸が人の共同体規範において再確認される必要がある。International community building is widespread in the current global society, as exemplified by the European Union (EU) and East AsianCommunity (EAC, though this is not yet in existence officially). Such community building accompanies transfer of national sovereignty toa supra-national level. What should be noted here is that the notion of "sovereignty"used to denote"Go...