国立教育研究所では、特別研究「学校と地域社会との連携に関する国際比較研究」が、平成6年度より10年度までの5力年の計画でスタートした。本研究は、今日の急激な社会の変化の中にあって、学校及び教育の在り方を問い直し、伝統的な学校観・教育観の下で構築されてきた教育制度、教育内容(カリキュラム)及び指導方法が抱える諸問題、具体的には、学校五日制、不登校児童やいじめの問題等を、情報化、国際化、生涯学習化の新しい視点に立って国際的な比較研究によって明らかにしていこうとするものである。生涯学習を考慮する場合に、子どもに単に知識や技術を教え込むことから、子ども自身が学び方や生き方を学ぶことへと焦点が変わり、またそのような資質を高めるために、学校を地域社会に開き、学校内外の学習経験及び教育資源を共に重視し、また活用していくことが不可欠となっている。世界各国ともその異なった社会的・文化的な背景の下で、21世紀をめざし、その社会で生きる将来の人材育成のために、学校と地域社会との各種の連携の方策を求めて学校内外の学習経験及び教育資源の総合的な活用を図るべく懸命の努力を重ねている。本研究の目的は、対象を初等・中等教育にしぼり、各国が、(1) いかなる社会的・文化的背景と教育政策の下で、子どもの自己教育力を育成するために学校内外の多様な学習の機会や施設を設け、その連携を求めてきたか(勤労体験学習、産学協同教育、ボランティア活動等)、(2) 多様な学習形態に応じたいかなる指導や評価の方法を開発してきたりか、(3) その運用のためにどのように人的・物的な資源の調達と配分を考慮してきたのかに焦点を当てて、それらに関する理論的、実証的な研究を行ない、それらを総合的に比較・検討することにより、わが国の初等・中等教...