中学校美術科調査報告書(平成8年度調査)　特別研究「学校カリキュラムの改善に関する総合的研究」研究成果報告書(9)

21世紀を目前に控えた今日、これまでの学校教育の成果と課題を総括し、きたるべき時代の学校カリキュラム像を描くことが緊要の課題となっている。情報化や国際化等の社会の変化が指摘され、そこにおける子どもの生活の変化が指摘されて久しい。今求められているのは、各教科の指導の実態や子どもの学習の姿を的確につかむとともに、学校カリキュラムの改善に向けた基礎的資料を整備し、提供することであろう。平成5年度から5か年の予定で進めている本特別研究は、このような要請に答える目的で、本研究所の教科教育研究部、科学教育研究センター、教育指導研究部の三つの部を中心に進めてきた研究である。本特別研究のねらい及び概要は次のとおりである。第一に、小・中学校、高等学校における教科等の学習指導の実態や課題について質問紙調査を行い、各教科等の内容構成や指導方法等の改善に関する知見と資料を得ることである。第二に、今後求められる教科等の構成の在り方や複数の教科内容を関連させたカリキュラム等の開発に関する基礎研究を行うことである。本研究ではこれらの目的のもと、(1)教科等の編成、(2)コミュニケーション能力の育成、(3)環境教育、(4)芸術教育、(5)道徳教育、(6)小学校外国語教育、(7)高等学校における職業教育の七種の研究課題を設けて、質問紙調査やカリキュラム構成に関する研究を行ってきた。本報告書は、これらの研究課題の中で、(4)の中学校美術を対象にした質問紙調査の結果をまとめたものである。この調査研究では、中学校における美術カリキュラムに関する生徒及び教師の意識を探ることによって、カリキュラム及び学習指導の改善のための基礎資料を得ることをねらいとした