世界各地の海域でクラゲ類の大量出現や現存量の増加が報告されているが, 日本, 韓国, 中国を含む東アジアの沿岸海域でも同様なクラゲ類の増加現象が起こっている, 瀬戸内海における最近20年間のミズクラゲの現存量増加と環境や漁獲量の経年変動を, 漁業者からの聞き取りなどにより調査した結果, 特に最近10年間のミズクラゲの増加が顕著で, それに伴い漁業被害が急増したとのことであった. 魚類資源の乱獲, 温暖化, 埋立などによる海岸地形の改変, 富栄養化などが複合して, クラゲ類の増加, 即ち「クラゲスパイラル」, を引き起こしている可能性がある. また, 近年日本海沿岸ではエチゼンクラゲが大量出現し, 大きな漁業被害をもたらしている, 本種の本来の生息域である渤海, 黄海, 東シナ海でも, 瀬戸内海と同様な環境変化が進行しており, 同海域も「クラゲスパイラル」現象が起こっている可能性が高い. 海域がひとたび「クラゲスパイラル」に陥ると, そこからの回復は容易ではないだろう.There is concern that gelatinous zooplankton such as cnidarians and ctenophores are becoming more prevalent in various regions around the world, including the coastal waters of East Asia. In the Inland Sea of Japan, poll results from 1152 fishermen with >20-year-experience demonstrate that the common jellyfis...