十七世紀以来、幕府の長崎貿易体制のもとに、長崎を訪問する中国人と丸山遊郭の遊女の間に大規模で、かつ多様な交流が存在したことは周知の事実である。この交流は日中貿易の繁栄がもたらした副産物だけではなく、日中間交通の発達とともに発生した独自の現象でもある。多くの中国人は、単に「快楽」を求めるため、長崎を訪問した。この現象が生じた最大の理由は、明清の王朝交代がもたらした中国国内の娯楽業の長い不況であると考えられる。また、幕府は、貿易に対していろいろ制限の政策を設けながら、中国人の遊興に対しては寛大であり、それを助長する傾向さえ見られる。ゆえに中国人にとって近世の長崎は貿易都市であると同時に、行楽の地としての側面も有している。中国人と遊女の交流は江戸時代を通じて存在し、一八三〇年代前後、一つのピークに達した。この交流は、明治維新以後大勢の日本人女性が「からゆきさん」として海外へ進出することと深く関わっている
二〇〇四年夏、東京国立近代美術館フィルムセンターは、映画『武士道』(一九二六)をロシアより発見した。この映画は日本初の日独合作映画と報道された。映画の中には、「ハラキリ」や「芸者」、「吉原」といった...
旺盛な繁殖力・生命力をもつものは、同時に不思議な呪力をも持っているが、桃も例外ではない。桃の呪力に関する伝承は、中国の諸史書にみられる。たとえば、古代の帝王や諸侯のあいだで行われた喪式・盟会・進食など...
明治期盲人教育におけるキリスト教と音楽について「宣教」、および「宣教師」という観点から論をすすめた。 ここで論じたのは明治九年フォールズ他が設立した東京築地の楽善会訓盲院、宣教師ゴーブルの点字聖書、...
中巌円月は個性のある文筆僧として、五山文学の隆盛に絶大な貢献をなしている。その文学には作者の波乱万丈の境涯での深い思考、練磨された人生があり、現実社会に即して作られた経綸思想、当時の中国人にも劣らな...
朝鮮王朝末期の王妃「閔妃」は韓国および日本を通じ、これまで多くの資料と作品の中で語られてきた。が、現在一般的に流布している「閔妃」の写真から喚起されるをもってしてそれらの資料と作品を読んでいいのだろ...
仏教の説話文学に登場する「捨身飼虎」の物語は、インドでつくられ、中国の千仏洞の壁画に描かれ、やがて日本の法隆寺にある厨子の側壁に再現されることになった。しかしこの絵はその残酷なシーンのためか、わが国...
この小論は、『古事記』の所伝の成り立ちに考察を加えたものである。仲哀天皇の崩御をめぐる所伝が類型に則って成りたつことをまず指摘する。その所伝に通じる『日本書記』の所伝は、その類型に合わず、仲哀天皇の崩...
子ども論は、教師になる学生を育てる教育学部では重要な課題でもある。いじめ、不登校をはじめ多くの問題が学校現場や家庭で起きている。また小学校においても、授業が成立しない学級があるとの芦も仄聞する。その原...
江戸時代の絵画、俳諧の表現技法の一つに「見立て」というのがある。それはいっけんまったくかけはなれた異質なものを、わずかな共通因子をとらえることによって、つないで鑑賞することである。みえるかみえないか...
渡来人の問題は、日本歴史の文化を研究する上で重要な課題である。一般には、渡来人は稲作とともに日本列島に入ってきたとされている。しかし、考古学の資料を見ると、古くは稲作が渡来した以前の縄文時代前・中期...
北京近代科学図書館は日中戦争勃発一年前(一九三六年)に創設された日本図書館、植民地図書館である。本稿でいう日本図書館とは、日本および日本の企業や機関の経営また資金援助で設立され、主として日本にかんす...
森鷗外と坪内逍遥による、近代文学史上最大の論争といわれる「没理想論争」についての注釈のうち、逍遥の鷗外への反論である「烏有先生に答ふ」(三)についての注釈。「没理想論争」については、さまざまに論じられ...
本稿は、戦後日本のマルクス主義経済学の第一人者であった宇野弘蔵(一八九七―一九七七)の東アジア認識を、主に戦時中に彼が執筆した二つの広域経済論を手掛かりに検討する。「大東亜共栄圏」は、「広域経済を具...
お茶の世界でよく言われることに、「「掛物に恋歌はふさわしくない」ということがある。では、何故恋歌はいけないのだろうか。これは茶道界全体について言えることなのであろうか。本論稿はこの事項に関するもので...
全ての分野にジェンダーの視点 : UNDP本部のWID基金担当官から話を聞く : 政治的意志は不可欠世界のNGOの動静 CONGO第1副委員長レズリー・ライトさん初来日 : 北京+10を巡って社会制度...
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