本稿は、台湾の日本植民地時代(1895~1945)のなかでも特に1920年代に活躍した台湾知識人たちの教育に関する要求内容を、当時彼らによって発行されていた民族雑誌記事から明らかにするものである。従来から台湾知識人たちによる政治的な問題に関する主張や行動が注目されており、これらは日本の植民地支配に抵抗した証として民族主義的な視点から高く評価されてきた。しかし、彼らが政治に加えて、極めて教育を重視していたことはほとんど知られていない。雑誌記事の検討によって、台湾知識人たちは日本の支配に抵抗することよりも、台湾を文明国へと導くことを第一の目的としており、そのために日本人と同等水準の教育を求め、講習会や講演会を行うなどして台湾民衆に対し近代的知識の普及・向上を行っていたことが明らかとなった。The purpose of this paper is to clarify the demands of Taiwanese intellectuals relating to educational issues by examining ethnic newspapers printed in the Japanese colonial era. The arguments and activities of Taiwanese intellectuals relating to political issues have received much attention in previous research, and been highly esteemed from a nationalistic point of view as evidence of resistance to...