Subcutaneous Tissue Reactions of the Rat to Synthetic Hydroxyapatite Ceramic Particles : An Electron Microscopic Study

生体組織と生体材料の係わりを検討するために,700℃焼成で粒径0.15μm と1,050℃焼成の粒径0.65-30μm の合成ハイドロキシアパタイトセラミック微粒子をラット腹部皮下に注入し,28日までの組織反応を電子顕微鏡的に観察し,以下の結果を得た｡1)およそ7μmを境として,それより小さい粒子は主としてマクロファージにより貧食消化され,それより大きい粒子または小さい粒子でも凝集して大きい粒子とみなされる粒子塊は異物巨細胞により貧食消化されていた｡2)集合していたマクロファージは血液由来の単球が血管から出て細胞分裂をし成熟したものと考えた｡マクロファージと異物巨細胞の両細胞は多くの形態学的類似性を有し,かつマクロファージが先行して出現することから,マクロファーの癒合により異物巨細胞へと移行することが強く示唆された｡3)3日目に700℃焼成の粒子が組織液にわずかに溶解し再沈着して電子密度の低い無定形の状態で観察された｡材料の焼成温度が低くカルシウムイオンの溶出量が多いため,局所で一時的に細胞為害性が生じたと考えた｡4)28日までの全実験期間を通じて,局所に石灰化物や骨の形成を認めず,かつ強い組織為害性を認めなかった｡5)観察された多核巨細砲には,波状緑かまたは刷子縁様の微細構造物は認めなかった