今回の研究では、患者白血病細胞上でのMac-1の発現率と、各種白血病細胞ホモジネートにおけるプラスミン,エラスターゼによる線溶系活性化能を測定し、白血病における白血球インテグリンMac-1を介する線溶機序について検討したので報告する。1.成績:(1)患者白血病細胞上でのMac-1の発現をフローサイトメトリーにて測定:急性白血病患者11例(AML7例;M01例,M11例,M23例,M41例:ALL3例,LGL白血病1例),骨髄異形成症候群(RAEB-T)1例を対象とした。AMLではM4にてMac-1発現率が40%と著明に上昇していたが他のタイプでは1〜13%程度であり低値であった。ALLも3〜15%程度であったが、LGL白血病では33%と高値であり、臨床的にも凝固線溶ともに亢進状態を認めた。(2)プラスミノゲン活性化能の測定:白血病細胞ホモジネートにプラスミノゲンを加えインキュベート後、発色合成基質S2251を加え、吸光度の変化によりプラスミン生成量を測定した。DICを合併したAPLで著増例が多く、APL以外のAML、ALLでもDIC合併例では高値を示す症例も認めた。(3)好中球エラスターゼ活性の測定:APL、CML、AMMoLで高値を示し、リンパ系白血病では低値であった。また、DIC症例と非DIC症例との比較において差を認めなかった。2.考察:APLなどではプラスミノゲン活性化能が有意に高値であったが、Mac-1発現率はMなどに比べると高くなかった。したがって、APLの線溶亢進におけるMac-1の関与はプラスミンほど大きくなく、むしろ好中球エラスターゼの関与の方が優位である可能性が示された。The aim of this study was to assess the exp...