個人情報保護のため削除部分あり教権主義―反教権主義の対立・抗争は一九世紀後半フランスの内政の主要な争点の一つである。この問題は一九世紀後半におこる工業化に伴う社会変化との関連で検討されるべきであろう。わが国でも、最近反教権主義が近代化、中央集権化のイデオロギーであることが指摘されている。しかし教権主義の方は、政治史的考察を除けば未開拓である。そこで筆者は本稿で、教権主義、とくにその主流派であり、かつその「反近代」的性格が問題となる非妥協的カトリシズムに焦点をあてて、近代社会、工業化との対応、民衆との関係について検討を試みた。その結果、非妥協的カトリシズムは反近代、親アンシァン・レジームというよりもむしろ民衆的性格を備えた反工業化、反革命のカトリシズムであることがわかった。この動きは単なる反動ではなく、工業化社会、大衆社会への能動的対応というべきものであったのである。Le cléricalisme-anticléricalisme est un des principaux conflits de la politique intéiieure en France à la deuxième moitié du XIX ̊ siècle. Ce problème doit être étudié en fonction des changements sociaux que l'industrialisation entraînait à cette époque. Récemment, au Japon, on a révélé que l'anticléricalisme en France est une idéologie de la modernisation et ...