個人情報保護のため削除部分あり本稿は律令財政史研究の中でも、税制史に比べ軽視されがちであった中央財政機構の特質の解明を目的としたものである。従来中央財政機構の特質は、特定の官司に保管されていた物資が、各官司や官人に支給されることをもって、非独立的、あるいは求心的な性格をもったものとして説明されてきたが、こうした指摘は一面的であろう。中央財政機構を構成する官司は、大きく保管官司と出納官司に分類できるが、地方から中央へ送進されてきた諸物資が、保管官司に収納され、さらに消費される過程において、こうした保管官司と出納官司がとり結ぶ関係を検討した場合、財源の確保という点で出納官司のもつ役割が重要な意味をもつ。また物資の出給は財源によって、その性格や予算との問題から相違がみられ、さらにこのことは物資の保管の在り方をも規定している。中央財政機構は、こうした諸官司の有機的な連関において総体的に把える必要があるIn this article we aim to elucidate the characters of the central financial system in the Ritsuryo period, which has been neglected, compared with the then tax system. It has been so far considered to be dependent and centripetal, so long as agencies and officials were provided with commodities which some agencies had kept in store, but this inte...