Rice Storage Techniques for Preserving High Quality

はじめに: わが国では古くから玄米貯蔵玄米流通が一般的に行われている。玄米貯蔵には,常温貯蔵と低温貯蔵とがある。低温貯蔵では冷却装置を使い年間通して倉庫内温度を15℃ 以下に保つ。そのおかげで,害虫の発生や米の品質劣化を抑えることができる。玄米ではなく籾で貯蔵を行うと,籾殻が玄米を物理的生物的に保護するため,害虫や微生物の侵入を防ぎ,米の生理活性を抑制する。そのため,籾貯蔵は玄米貯蔵に比べて品質保持効果が高い。そこで近年は籾貯蔵を行うカントリーエレベータが全国的に増加している。北海道における米の共乾施設は,1995年以前はライスセンタが中心であった。1995年に食糧管理法が廃止され,新たに「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」が施行された。その結果,米の商取引が自由になり産地間競争が一段と厳しくなった。そこで北海道では,高品質で大ロットの米を出荷するために,1996年以後,カントリーエレベータを相次いで建設している。ここでは米の高品質貯蔵技術として,「氷点下での米の貯蔵」について述べる。また,北海道で建設されたカントリーエレベータで実用化試験を行い,現在その技術が普及している「冬季の寒冷外気を利用した米の高品質貯蔵技術」について紹介する