Support to Student with Learning Disabilities in the U.S.A.

米国ではリハビリテーション法504条，ADA法のもとでほとんどの大学に障害学生支援システムが整備されている。障害学生の中で学習障害のある学生が増え，全体の半分を占めている。現在，大学は学習障害学生に対応するための支援プログラムを開発している。支援プログラムは，学習障害学生のために設けられたものであり，学生に支援を行なうが，学生支援のみでなく，キャンパスの教職員の相談にのったり，学習障害学生のニーズに敏感になるよう訓練したりすることにかなりウエイトが置かれている。教授の多くは，自分の分野については専門家であるが，学生がどのように学習するかなど，学習の問題に関する訓練を受けていない。そのために学習障害学生への支援について理解不足が起こり，それが学習障害学生に多くの障壁となる。そのため，各大学では，教職員教育，教職員支援が行なわれている。米国では，小学校・中学校段階の学習障害支援体制の中で育った子どもたちが大学に進学している。多くの学習障害学生が高等教育機関に在籍しているという事実とリハビリテーション法, ADA法により障害学生支援が法的に定められていることから，学習障害学生支援が進み，教職員の意識も高いものと考えられる。日本では，現在，小学校・中学校の段階で学習障害と判断された子どもたちへの支援が始まった段階であり，高等教育構関に在籍している学生数の把握などの研究は進んでいない。今後，小・中学校で支援を受けてきた子どもたちが大学進学を迎える時期が訪れ，大学での支援体制を整える必要性が生ずると思われる