地表層に固体粘性がある場合の地震動の振幅の性質をしらべたところ,次のようなことがわかつた.(1)地表層の固体粘性が大きい場合 表面層の彈性が下層のそれに比べて相當に小さい場合には,基本固有用期のとこるの振幅が明かに卓越するが(第3圖参照),この比が余り小さくない場合には,固有用期のところの振幅の特性をほとんど現はさない(第5圖参照).(2)地表層の固体性が余り大きくない場合 兩層の彈性比(μ2/μ1)が相當に小さい場合には基本固有周期にあたる附近の振幅が無論卓越するが,高次の固有周期附近でも振幅の増大がおこる.しかし,この彈性比が余り小さくない場合には,これらの性質はそれ程はつきりしない.以上の事柄は,一般の性質としては波動問題として容易に想像されるところではあるが,實際の場合に近い常數を入れて數値計算を行つた結果,種々の地盤に特有な地震動の性質が,この種の研究で相當程度説明できそうなことがわかつた譯である
弾性波地下探査の結果によると,沖積層が相当厚い土地では,弾性波速度の不連続面が,3つある場合が少なくない.それで今回は,地表面近くに1層或は2層ある場合の前回の研究につづいて,3層ある場合の数理的研究...
地震記象の分析と表面波及固體波の理論とから地殻の粘性係數が1010と109(C.G.S.)との間にある事がわかつた.地表の粘性係數は深層部のそれよりも寧ろ高い事もわかつた.即ち,地表近くで1010であ...
地震波の走距離による減衰を調査して地球の内部摩擦係数1/Qを計算することはGutenberg等により取上げられてきた研究課題であるが,その最も困難な点は各観測所の観測状況が同一でないことと,それら観測...
地表附近の構造は多くの場合に数層からなっている.筆者は,地表近くに少くとも2層ある場合の地震動の性質をしらべておく必要を感じ,前論文の数理的研究では,固体粘性を考慮に入れた解式を求めておいた.本論文で...
構造物の多質点モデルにたいする応答解析などに,日本やアメリカ合衆国で観測された強震記録が使われているが,これらの記録は,主として地表面付近で観測されたものである.一方,重要構造物の基礎は,一般に,地表...
震央距離10度附近に地震固體波の蔭が出來る事の説明を與へるために,ある深さの地層で波の屈折角が限界になるといふ考方と同じ深さで固體の粘性が少しく高くなるといふ考方との兩方を試みてみた.表面で一度も反射...
地表層の固有振動の週期とその振動勢力が逸散するための振動減衰の割合とは,必しも一定不變のものではなく,最初に與へたディスターバンスの方向によつて少しく變り得るものである.この事柄は,彈性體の固有振動が...
群発地震の力学過程に対しては,従来寺田の理論,石本,岸上の地震帯は地殻変形に伴うという理論,松沢の余震は隆起帯に起るという理論,塩谷,日下部,ベニオフ等の余震に対する弾性余効の理論,茂木の不均質媒質に...
地殻に斷層面があつてその面に摩擦抵抗があるときには,その面の兩側の地殻が完全な彈性體であつくも,地震波の勢力の一部分がこの面で吸収される事を確めたのである.而も最もよく吸収されるのは摩擦抵抗の係數が中...
數ケ月前に今村博士は紀伊地方の或地震では土地の固有振動が誘起され得る事を地震記象の説明によつて提唱された。斯る事柄は土地の固有振動を考へなくても地震波の分散や散逸を以てすれば亦容易に説明する事が出来る...
震動原の大さに比較して波長が短い場合には原點の震動機構が地震初動の分布に割合によく現れるけれども,波長が長い場合には之が打消されて初動分布の状態に現れ難いといふやうな事が井上氏によつて面白く發表された...
地表層が均一な場合の性質は既に論じてあるが,不均一な場合にも同じやうな性質があるかどうかをしらぺて見たところが,場合によつて特殊な性質があることがわかつた.即ち不均性が可なり著しくても下層との接面のと...
静力學的方法の實驗によつて得られた,ヒツチ,パラフィン,砂岩等の物質の粘彈性性質に關しては,既に第1報として此の彙報の前號に報告してある.その實驗の結果を地球物理學的現象に應用する場合,山脈の摺曲及び...
第6章 高橋伏見の方法による地震動の尾部の週期解析.高橋伏見の方法により震央距離の異る9個の地震について尾部の振動の週期解析を行つた結果をのべた.まず始めに高橋伏見の方法により解析を行へば得られる振動...
弾性波の速度をc(x)=α(1+b cos γx)としてMathieuの微分方程式によつてかかる媒質内を伝播する弾性波の安定性をしらべた.考えとしては古い問題であるが波動伝播の理論とむすびつけて具体的...
弾性波地下探査の結果によると,沖積層が相当厚い土地では,弾性波速度の不連続面が,3つある場合が少なくない.それで今回は,地表面近くに1層或は2層ある場合の前回の研究につづいて,3層ある場合の数理的研究...
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